タイムトラベラー・キス

そして、お昼休みになり約束の場所に行くと、すでに野々村くんの姿があった。


「お待たせ。今日のお弁当は肉団子だよ」


「相変わらず今日もうまそうだな。……いつもわりぃな」


野々村くんとお昼を食べるときはいつも、私は2人分のお弁当を用意している。
それがいつしか当たり前になって、野々村くんもパンを持ってこなくなった。


こんなに体が大きくて部活もしているのに、お昼がパンだけだと心配になる。
少しでも私のお弁当でスタミナがつくといいな。


……そういえば、未来の私は、野々村くんにお弁当を作ってあげたことはなかったな。
未来に帰ったら、お弁当を作ってあげたいって心から思う。



「から揚げが一番好きだけど、肉団子も負けないくらいうめぇ」


「あはは、ありがとう。作り甲斐があるよ」


野々村くんはあっという間にお弁当を平らげ、食後に紙パックのコーヒーを飲み始めた。


「お前の分も買っておいたよ」


お弁当のお礼なのか、私にはいつもフルーツジュースを買ってきてくれる。
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