タイムトラベラー・キス

野々村くんが素直に褒めてくれてとてもうれしかった。
頑張って浴衣を着た甲斐があるよ。まぁ、着付けをしてくれたのはお母さんだけど……。


”可愛い”って、未来の野々村くんは、特に照れもせずに言ってくれるけど、高校生の野々村くんは恥ずかしいようで顔を赤らめている。


そんな野々村くんが可愛くて仕方がない。


「じゃあ、そろそろ行くか」

「うん!」


お祭りの会場までは、最寄の駅から電車で数駅のところにある。
いつもは空いている夕方の電車も、今日は祭りに行く人々で混雑していた。

浴衣を着ている人も結構いて、いつもとは違う光景に胸が躍る。



「……電車、結構混んでたな。大丈夫だった?」


「うん!さっそく屋台のほうに行ってみようよ」


お祭りのある駅に到着すると、駅の周りにはすでにたくさんの屋台が出ていた。
おそらく、神宮まで続く道まで続いているのだろう。
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