タイムトラベラー・キス
……屋台にはしゃぐのもそろそろ終わりにして、どこか人気の少ないところに移動しなくちゃ。
神宮に向かうまでの間、あたりを見渡して、キスできそうな所を探す。
ちょうど神宮に入ったところで、誰も座っていないベンチを発見する。
「野々村くん、あのベンチに座って食べようよ。花火までも時間があるし」
「そうだな。ちょっと休憩するか」
二人でベンチに座り、二人でたこ焼きなどをシェアして食べる。
「屋台の食べ物ってすごくおいしく感じるよね」
「そうそう、不思議だよな。いつでも食べれるものが多いのに」
ちょうどベンチの近くには時計があり、食べ終わった頃には、時計の針は17時45分を指していた。
残り15分。
今のところまったくムードもなく、二人で何かしら食べていただけだ。
どうしよう、とりあえず、いい雰囲気に持っていかなくちゃ。
……焦った私は、とりあえず彼の手に自分の手を重ねてみた。