タイムトラベラー・キス

……屋台にはしゃぐのもそろそろ終わりにして、どこか人気の少ないところに移動しなくちゃ。
神宮に向かうまでの間、あたりを見渡して、キスできそうな所を探す。

ちょうど神宮に入ったところで、誰も座っていないベンチを発見する。


「野々村くん、あのベンチに座って食べようよ。花火までも時間があるし」


「そうだな。ちょっと休憩するか」


二人でベンチに座り、二人でたこ焼きなどをシェアして食べる。


「屋台の食べ物ってすごくおいしく感じるよね」


「そうそう、不思議だよな。いつでも食べれるものが多いのに」


ちょうどベンチの近くには時計があり、食べ終わった頃には、時計の針は17時45分を指していた。

残り15分。
今のところまったくムードもなく、二人で何かしら食べていただけだ。

どうしよう、とりあえず、いい雰囲気に持っていかなくちゃ。



……焦った私は、とりあえず彼の手に自分の手を重ねてみた。

< 231 / 276 >

この作品をシェア

pagetop