タイムトラベラー・キス

「それがきっかけだったんだ……」


「まぁな。好きになるきっかけなんてそんなもんだよ。同じクラスになって、お前を目で追っているうちにどんどん好きになっていった。悔しかったけど、晃のことで頑張ってる純粋なところも好きだった。応援したい気持ちと、したくない気持ちが混ざり合って、ついお前に冷たく接してさ。バカだよな、俺も」


「野々村くん……ありがとう」


ずっと知らなかった、野々村くんの気持ち。
10年前に戻って、聞くことが出来て本当に良かった。


過去の野々村くんも、未来の野々村くんも、変わらず私を大切にしてくれている。
それなのに私は、どうしてマリッジブルーになってしまったのだろう。

でも、悩んだ末に過去に戻ることが出来て良かったって心から思う。


彼の一緒にいる時間が、彼の優しさが、当たり前になりすぎていた。
未来の戻ったら、彼と過ごす時間を、一秒一秒を大切にして生きていこう。



「……約束の、18時だ」



高校生の野々村くんと最初で最後のキスをしながら、彼への永遠の愛を心の中で誓った。
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