タイムトラベラー・キス
「……ごちそうさま。もうお腹いっぱい」
急に食欲がなくなった私は、おかずを残してダイニングテーブルから離れた。
そのまま寝室に行き、静かに扉を閉める。
この反応、明らかに態度悪すぎでしょ。
でも、今は雪と楽しくご飯を食べる気持ちになれない。
7月7日の18時には雪は飛行機の中。
じゃあ、私はどうやって過去に戻ればいいのだろう。
きっとついていくこともできないだろう。
彼の出張を止めることはもっとできないと思う。
……とりあえず、理子に相談してみるしかない。
そう思い立った私は、寝室に置いてあったスマホを手に取ってチャットアプリを開く。
「あれ……?」
チャットアプリには、思いがけない人物からの連絡が来ていた。
”雫ちゃん、久しぶり。同窓会以来だね。あの時はいろいろとごめんね。
ところで、今度東京に出張に行くんだけど、どこかで会えないかな?”