タイムトラベラー・キス

「……こんなに自分に怒りを覚えたことはないかもしれない」

未来の私の我儘に付き合わされることになるなんて、想像もできなかったよ。
この手紙をおもわず破ってしまいそうになる。

それに、手紙に書かれてあることが衝撃すぎて受け止めることができない。
竜見くんとは別れ、なぜかあの野々村雪と長年付き合って、婚約してるなんて。


「いったい、何がどうなってこうなったっていうの?!」


「まぁまぁ、落ち着いてって。私の薬のせいで17歳の雫には迷惑をかけて申し訳ないよ。まぁ、正直私は実験できてうれしかったけど」


「本音、本音出ているから!理子……さん」


いつもの調子で”理子”と呼ぶのはまずい気がして、なんとなく”さん”付けしまう。
この手紙に書かれていることが本当なら、理子は私より10歳年上になるから。
いや、私も体は27歳なんだけど。
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