タイムトラベラー・キス
「私だって、竜見晃みたいな男は嫌いだよ?でも今はそれしか選択肢がないのだよ。一応、空港から移動しやすい駅で竜見と会う約束をして、ぎりぎりまで野々村のことを待ってみよう。一応、野々村が間に合う可能性もないわけじゃないから」
「……でも、もし間に合わなかったら、竜見くんとキスをするんだよね?」
「うん。そうなった場合は、私から野々村と、27歳の雫に説明するから安心して。私もその日は近くでスタンバイしておくし……」
理子の考えをきいて、私にはまた心配なことがひとつ増えた。
未来の私は、入れ替わった後、目の前に竜見くんがいたらどう思うのだろう。
きっとショックを受けるに決まっている。
もしかしたら、未来の幸せを壊しかねない。
私のせいで未来が変わったらどうしよう……。
不安でたまらなくなり、手のひらをぎゅっと握りしめる。
「大丈夫だよ、雫。私がついているから」
理子は私の手に、その小さな手を重ねて、何度も何度も励ましてくれた。