タイムトラベラー・キス

――理子と別れて帰宅した後、理子に言われた通りに竜見くんに返信しておいた。

空港からアクセスしやすい、比較的大きい駅を指定しておく。
まぁ、東京の駅はどこも大きいと思うけど。


竜見くんからはすぐに”了解、楽しみにしてる”と連絡が来た。
彼には悪いけど、ドタキャンするような展開になりますように、と願ってしまう。

雪の予定が変わって、予定より早く会えたらいいのに。


……それにしても、陰でこそこそ竜見くんと会う約束をしているなんて最低だと思う。
これしか選択肢がないって分かってはいるけれど、また雪に隠し事が増えてしまう。


彼にはもう、嘘をつきたくない。
何も隠したくない。

ただでさえ、毎日嘘をついているようなものなのに。


罪悪感で胸が押しつぶされてしまいそう。


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