タイムトラベラー・キス
電話越しにでも伝わる彼の優しさに触れて、心の奥にかかっていた鍵が外れたような気がした。
その向こうには、彼にずっと言えなかった秘密があった。
……ずっと隠していたけど、もう言いたい。
この人の前では、ありのままの私でいたい。誠心誠意で向き合いたい。
そう思い始めたら、次々に言葉が溢れてきた。
「雪、あのね、3ヶ月くらいずっと秘密にしていたことがあるの」
「……秘密?……何?言ってみて」
雪の声は、心なしか余裕がなくなったように聞こえた。
そりゃそうだよね、婚約者から”秘密がある”って告白されたら動揺するはず。
彼の動揺に気づきつつも、私は話し続ける。
「あのね、信じられないかもしれないけど……3ヶ月前、27歳の私と17歳の私は、心だけ入れ替わったの。理子のタイムトラベルの薬を飲んで」
「…………ん?」
「だからね、今の私は、体は27歳だけど、心は17歳なの!」