タイムトラベラー・キス
電話を切ってからも、私の涙は止まらなかった。
ああ、最低だ。
私はただ全部話してすっきりしたかっただけなのかもしれない。
真っ直ぐに向き合いたい、なんてただの言い訳だったのかもしれない。
うまく隠して、入れ替わっていれば、雪を傷つけることもなかった。
未来の私が戻ってきて、話し合いになって、別れるという可能性もある。
突然押し寄せる後悔に苛まれ、この日、私は眠ることが出来なかった。
「……なんてひどい顔」
目はパンパンに腫れ、顔色も悪い。
ずっと泣いていたから頭も痛い。
未来生活最後の日がこんなコンディションなんて最悪だ。
でも、こんな時でもお腹は空くもので、パンとヨーグルトを食べながら今日の予定を考えていた。
竜見くんとは夕方に会う約束をしているから、それまでに掃除をして、身支度を整えよう。
こんな最悪な結果しか残せない私が今できることは、掃除くらいしか思いつかなかった。