タイムトラベラー・キス
竜見くんが予約していたのは、レストランではなかった。
なかなか泊まることが出来ないような、超有名ホテルの一室だった。
……まさか、こんな展開になるなんて、いったいどうしたらいいの?
部屋だったら問題なくキスは出来ると思うけど……絶対それだけじゃすまない!
「えっと、竜見くん、どうして部屋を予約してるの?」
「そのほうが二人きりでゆっくり話せるしさ。ホテルにはレストランもあるし、ルームサービスもできるよ。さあ、中に入ろう」
「いや、でも、さすがにこれは……」
ホテルの中に入ってしまったら、もう本当に後戻りできなくなってしまう。
それ以上に、竜見くんと密室で二人きりなんて考えられなくて、足も動かない。
「……大丈夫、雫ちゃんが嫌がるなら何もしないから。泊まらずに帰ったっていいよ?ね、とりあえず入ろうよ」
竜見くんは私の肩に手を回し、強引にでもホテルの中に入ろうとする。
まずい、まずい、まずい。
でも、一緒に行かないとキスが出来ない。
…………どうしたらいい?
もう、私は分からないよ……。