タイムトラベラー・キス

そう言いながら、私の頭をわしゃわしゃと撫でた。


「27歳の雫のわがままに付き合わされて、大変だったな」


「……あの話、信じてくれるの?」


「ああ。最初は信じられなかったけど、浅野に話を聞いて理解したし、ふと10年前の今日のことを思い出したんだよ。いきなり”18時にキスして”って言われてさ。今ようやくその意味が分かったよ」


未来の私は雪に”18時にキスして”なんて言ってたんだ。
……ということは、過去に戻ったら、目の前には高校生の雪がいるってことだよね。
竜見くんと別れたのかな、とか色々気になるけど、その事実は素直に嬉しい。



「信じてくれてありがとう、私、雪との3ヶ月間とっても幸せだったよ。最初は婚約者が雪って知って驚いたけどさ」


「そっか。10年前の4月くらいは、俺たち付き合っていなかったもんな。……俺、お前が入れ替わっているとも知らないで……抱いたり、したよな」


「う、うん……」


「やたら初々しい反応をしていたのは……そういうことだったんだな。……マジ、ごめん」



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