タイムトラベラー・キス

タイムトラベルしたばかりのとき、さっそく雪とひとつになったことを思い出す。
恥ずかしくて、戸惑って、でも愛のある触れ合いがとても気持ち良かった。


「……私、とても幸せを感じたよ、あの時」


「そう聞いて安心したよ。……そろそろ、時間だな」


雪の腕時計で時間を確認すると、もう17時55分となっていた。

どうしよう。
もう後5分で、雪ともさよならだ。

過去に戻ったら高校生の彼に会えるのに、なぜか寂しい。



「……寂しいな。また10年経ったら会えるのに」


「そうだな。なんか不思議な感覚だけど。俺は17歳の雫にまた会えてうれしかった。……17歳の俺のこと、よろしく頼むわ」


「うん、任せて」


「……俺は、17歳のときも、27歳の時も、これから先もずっと……お前だけだから」



最高に甘くて、最高にうれしい言葉と共に、彼は私にそっと口づけをした。



ありがとう。
私、今の言葉、絶対に忘れないから。


――また会える日を、楽しみにしてる……。
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