タイムトラベラー・キス

彼は、もうひとつのベッドに座る私を見据えていた。

野々村くんにはもう何も隠せないと思った私は、素直にマリッジブルーになったことや、付き合いたての頃の記憶がなかったことを告白した。


「野々村くんのことは本当に大好きだよ。でも、理由は分からないけど不安になっちゃって……。過去にいけば気持ちも整理出来るかなって思ったの」


「……それで、過去にいって、何か分かったのか?」


「うん、分かったよ。どうやって私たちの距離が近づいたのかとか、野々村くんの優しさとか。私にはやっぱり、野々村くんしかいないって思った」


「ふーん」


野々村くんの口元が少しだけ緩んだ気がする。
もしかして、嬉しかったのかな。


「……17歳の雫も、27歳の雫も、大事なことは俺に相談しないで勝手に行動するんだな」


「ごめんなさい……」


「これからは、何か悩んだら、どんなことでも一番に俺に相談するって約束して」


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