タイムトラベラー・キス
そして、なんで……
よりにもよって、野々村なんかと婚約なんてしているんだろ。

まぁ確かに、大人になった野々村はちょっとかっこよかったかもしれないけどさ。
全くタイプじゃないし。
筋肉ムキムキの男らしい人よりも、細身で中性的な、女装が似合うほどきれいな顔が好きなのに。


「好きな人のタイプって変わるのかなぁ……」


そんなことをつぶやきながら、いつの間にか私は夢の中に落ちていた……。







次の日。
朝陽のまぶしさに目が覚めた私は、トイレに行く前に洗面所に向かった。
そして鏡を見て、見慣れない自分の姿にがっかりする。

全て夢だったらよかったのに……
新築でとっても素敵なこの部屋よりも、17年間住んでいる古い一軒家に戻りたいよ。



顔を洗い、歯を磨いて適当な服に着替えて、寝室に置かれていたスマートフォンを手に取った。

そういえば手紙には「スマホは10年前とほぼ同じ構造だから使えるはず」って書いてあったな。


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