タイムトラベラー・キス
――ハンバーグが出来上がり、私たちは二人用のダイニングテーブルに料理を並べた。

「いただきまーす」
「いただきます」

野々村はきちんと両手を合わせてから食べ始めた。
意外とちゃんとしてるんだな、そういうところ。一緒にご飯食べたことないから知らなかったよ。


……ふと、昨日竜見くんとパスタを食べたことを思い出す。
緊張しちゃって、竜見くんがどんな風に食べていたのか見ていなかったな。

竜見くんという彼氏がいるのに、野々村と一緒にご飯食べて、同棲までしているなんて……。
未来にタイムトラベルしたとはいえ、浮気してる気がしてちょっとつらい。


「ハンバーグって本当にうまいよな!」

おいしそうにご飯を食べる野々村の顔を見て、ちょっとだけ心が和らぐ。
そういえば、10年後も竜見くんと野々村は親友同士なのかな。
聞きたいけど、さすがに婚約者の前で元彼の話はできないよね……。

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