タイムトラベラー・キス
「たまには先に入ってもいいよ!」
「そうだな。それか……たまには今日は一緒に入る?」
穏やかな時間は一瞬にして壊れてしまった。
野々村のバカ!いや、私がバカなのか?
なんでいつも一緒に入ってないのにそうなるの?!
”たまには”って言葉がいけなかったのか。
どうしよう、ピンチすぎる!!
手紙には”求められたことを拒否しないで”って言われたけど……でも……
「えっ、一緒に入るのはまた今度で……いいよ?」
思わず野々村から顔をそむけ、背中を向けてしまう。
その背中が急に温もりに包まれ、それが腕にも伝わっていく。
「照れてんの?……処女でもねぇのに」
「……ゃっ」
耳元で感じる、野々村の低い声と、吐息。
くすぐったくて、胸が熱くなる。
こんな感覚初めてで、力が抜けそう。
いつの間にか私は野々村に後ろから抱きしめられていた。
急に感じた温もりは、やつの体温。