タイムトラベラー・キス
嘘と恥じらい。
お風呂から上がり、化粧水で肌を整えた後、野々村の待つリビングへと向かう。
やつは特に私を気にする様子もなく、スマホをいじっていた。
ちらっと見えたところ、野球のゲームをしているみたい。
10年後も変わらず野球バカなのか。
私もテレビをみたり、使い慣れないスマホをのぞいてみたりして、自由に夜の時間を過ごした。
相変わらず野々村との距離は近くて緊張するけれど、ほんのちょっとだけ慣れた気もする。
あっという間に時間は11時を回っていた。
そろそろ、寝る準備を始めるときかもしれない。
そう考えるとまた体中に緊張が走る。
「明日からまた仕事だし、そろそろ寝てもいいか」
「うん、そうだね」
野々村はソファからゆっくり立ち上がって洗面所に向かった。
青色の歯ブラシと手にとり、歯を磨いている。