タイムトラベラー・キス

「今日テレビでね、ブラして寝たほうが胸の形がキレイになる、らしくて……」

人って、窮地にたつと次々に嘘が出てくるものなのだろうか。今まで嘘つくのが苦手だったのに、自分にビックリする。


「それって、専用のものがあるんじゃねーの?まえ寝るときにつけると苦しいって言ってたし、外しなよ」


野々村はそう言いながら、私の背中を撫でていたその腕を、服のなかに忍ばせた。


「ちょっ、野々村くん……?!」


突然の行動にパニックになって、思わずいつもの呼び方で呼んでしまう。


「じっとしてて、俺が外してやるから」


「そんな、だ、ダメだよっ」








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