タイムトラベラー・キス
私を見つめるその瞳からも、髪を撫でるその手の動きからも、野々村が私を大切に想ってくれていることが伝わる。

正確には、10年後の私に向けての愛だけれど。


「ごめんな、今日は疲れているみたいだったから、するつもりはなかったんだけど……お前が可愛いこと言うから、つい」


「可愛いこと……?」


「緊張してドキドキするとか言われたら……嬉しくなるだろ。それに……」


野々村は照れくさそうに笑いながら、こう続けた。


「いちいち、初めてした時のような反応するからさ……いつもより興奮したし」











< 62 / 276 >

この作品をシェア

pagetop