タイムトラベラー・キス
理子の表情は急に真剣なものになる。何か重要な話をされると思った私は、背筋をぴんと伸ばしてそれを待った。
「セットのサラダとなります」
店員さんが小さな器に入ったサラダをテーブルに置く。理子はフォークでそれをつつきながら話し始めた。
「今日、雫をここに呼んだのは、タイムトラベルは危険な行為だという事を説明しようと思って」
「危険……?」
「まぁ、未来に来た雫に関してはそれほど心配はしていないけどね。未来に来ることより、過去に戻るほうが危険なんだ。……その行動によっては、未来を大きく変えてしまうからね」
サラダの次にメインの料理まで運ばれてきた。
この話、ごはん食べながら聞く内容ではない気がするのだけど……。
「冷めちゃうから気にせず食べちゃって」
理子に勧められるまま、私はハンバーグをぱくりと一口食べる。
肉汁が口の中でじゅわっと広がって、ソースも好きな味だけど、いまいち味を感じることができない。