タイムトラベラー・キス
「だから27歳の雫にも、決して過去に起きた出来事を変えてはいけないと話してある。それが目的ではないし、誰も未来を保証できない。それに時空はとても脆く、すぐに歪みができてしまうんだ」

理子は水を一口のんで、さらに続ける。


「だから、二人の雫は、入れ替わった先の環境を決して壊さず、三か月後にちゃんと戻らないといけない。戻らなければそれこそ未来が変わってしまうかもしれないからね」


「戻らなければ、未来が変わる……?」


「そう、まぁその前に、私が開発した薬について説明したほうがいいよね」


理子の説明によると、理子の作った薬というものは一時的に魂と肉体を乖離させるというものだった。

その状態で、過去の同じ時間に同じ精神状態になったタイミングであれば、魂が入れ替わることが出来るらしい。
未来の魂が過去の肉体に入り、肉体から離れた過去の魂が、仕方なく未来の体に入ってしまうとか。




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