タイムトラベラー・キス
――夕方になり、スマホを見ると野々村から”今日は定時で帰る”との連絡があった。
いつもより早く帰ってくるならなおさら、同窓会の話をしないとね。

”了解”と返事をして、鶏のから揚げを作る準備を始めた。

野々村への罪滅ぼしのつもりなのだろうか。
野々村は未来の私の婚約者であって、１７歳の私の彼氏ではない。

竜見くんに会いたいから同窓会に行きたいと思うことは、悪い事ではないはずなのに。
この心のもやもや、どうしても晴れないよ。



「ただいまー」


連絡通り、いつもより早く野々村が帰ってきた。


「お帰りなさい、お疲れ様。もうご飯できているよ」


「おっ！やった、から揚げじゃん」


テーブルの上に置かれたから揚げを一つつまんで、一口で食べる。


「ふつうにうめぇ」


その姿は、スーツを着ているのに子供のように見えた。



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