タイムトラベラー・キス
野々村は毎日、両手を合わせて「いただきます」と言う。
そしていつも、どんな料理でも「おいしい」と言って食べてくれる。
今まで自分の家族にしかご飯を作ったことがなかったけど、彼のおかげで自分の料理に自信がつきそうだ。
「今日は一日何して過ごしてたの?」
「えっとね、掃除して、料理して……あとはテレビ見てたかな」
「そっか、たまには外に遊びに行ってもいいんだぜ。……あ、でもこっちに知り合いもあんまりいないよな」
野々村は少し申し訳なさそうにしていた。
そんな顔を見ると私まで元気がなくなってしまいそう。
「……ごめんな。俺の仕事のせいで、お前まで東京に引っ越してくることになって」
「そんな……大丈夫だよ、これから知り合いも増えていくだろうし」