タイムトラベラー・キス
「ほんとに……行ってもいいの?」
「もちろん。お前にはさみしい思いもさせてるし、たまには地元で友達と楽しんできなよ」
野々村の口からは”竜見晃”の名前は出てこない。
あんなに仲がよさそうな二人だったけど、もう疎遠になってしまったのだろうか。
そのあたりのことを私は知らないし、うかつに聞くこともできない。
「ゆ……きは、私が一人で同窓会に行くことは……嫌じゃないの?」
恐る恐る、野々村の気持ちを確かめる。
すると、野々村は立ち上がり、向かいの椅子に座っている私のところまでやってきた。
そして、私の前で跪くような姿勢をとり、私の両手をぎゅっと握った。
「嫌じゃない……っていったら、嘘になるけど。俺は雫を……雫と一緒に過ごしてきた時間を、信じているから」