タイムトラベラー・キス
まさか服を選んでもらえると思わなかった。
長年一緒にいるうちに、私の好みを知り尽くしているのかな?
それとも、私に合う服を探してくれたのだろうか。

どちらにしても、照れくさくてなんだかくすぐったい。



……ドレスに着替え、ドキドキしながら試着室のカーテンを開く。その先には、スマホをいじりながら待っていた野々村がいた。


「ど、どうかな」

「……それやっぱ、買うのナシ」

「えっ?似合わなかった?」


“可愛い”って言ってくれると期待していたから、ショックが大きい。


「違う、その逆」


「逆って?」


「……可愛すぎて、他の男に見せたくなくなった」

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