タイムトラベラー・キス
「雫が帰ってくるって思ったら張り切っちゃって。お昼まだでしょ?」
「うん、もうお腹ペコペコなんだ」
テーブルの上に並んでいるのは、私の大好物のものばかり。
オムライスにアボカドのサラダ、オニオングラタンスープに、デザートのショートケーキまで。
一人では食べきれないほどの量だけど、気持ちが嬉しくてたまらない。
「いただきます」
一口食べると、とても懐かしくて愛おしい味が口の中で広がってなんだか泣きそうになる。
お母さんの料理、久しぶりに食べたな……。
「おいしいでしょ」
お母さんは嬉しそうにテーブルの向こうに座っている。
ここは、10年度の世界なんだから当たり前なんだけど……お母さん、年とってるなぁ。
髪の毛は白髪が増えて、顔や手にはしわが増えている。
少し小さくなったようにも見えた。