殺戮都市~バベル~
鋭く、一直線に斜めに振った日本刀。


この一撃で、松田に致命傷を与える。


でも、殺さないように。


PBMを破壊するという目的が、脳裏にチラついたその時だった。


松田に振るった日本刀……それを持つ右腕が、俺の目の前で消えたのは。


何が起こったんだ?


どうして右腕がなくなった?


わけがわからずに、消えた右腕を目で追ってみると……それは、ゆっくりと床に落ちようとしていた。


松田は、槍で弾かれた鞭を既に引いていて、その動きが隙に見えた俺を誘い込んだのだろう。


そこに……俺は飛び込んでしまった。


「ぐうっっ!」


「お前だけは……好きにはさせん!」


再び鞭が振られる前に、俺は床を蹴って後退。


名鳥はさらに攻撃を仕掛けるけど、鞘だけで戦うには相手が悪過ぎる。


「少年!大丈夫か!今すぐ回復を……」


そんな俺を見て、恵梨香さんが駆け寄って来たけど、俺は首を横に振った。


ソウルがもう残り少ない。


失ったのは右腕一本で、まだ左腕が残っているから。


「恵梨香さん、俺……絶対に勝ちますから」


こんな状態で、どうやって勝つと言うのだと、恵梨香さんは言うかもしれない。


だけど……今の一撃の際に、俺には松田の限界が見えたような気がした。
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