殺戮都市~バベル~
松田は強い。


俺一人では、間違いなく勝てる相手じゃない。


名鳥や神谷が一緒に戦ってくれて、ようやくまともに戦えるといった所だ。


その中で見付けた勝機。


俺の右腕を切断した時の松田は、余裕のある表情ではなかった。


顔面蒼白。


俺が切断した右腕から、大量の血液が流れ出して、もう余裕などないのだろう。


松田との距離はある。


でも、俺が鞘を放した途端、攻撃を仕掛けて来ると言うのは有り得る話だ。


俺は、鞘に納まった日本刀をイメージし、鍔を持つように指を掛けて……日本刀を引き抜いた。


すると、イメージ通り、鞘に納まった状態で日本刀が姿を現したのだ。


手の中でクルリと回転させて、日本刀の柄を持つ。


「おい坊主!待たせたな!もう一発、やれるぜ!」


そんな俺に、神谷が声を掛ける。


……次は本当に大丈夫なんだろうな。


と、言うよりも、ウエポンブレイクを待たなくても良いような気がしてきた。


「じゃあ……神谷さんの判断でお願いします!」


鞘に納まったままの日本刀を左手に握り締めて、俺は再び松田に向かって駆け出した。


この攻防で終わらせると。
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