殺戮都市～バベル～

台頭する南軍

……俺は何度も同じ夢を見た。



どこかの学校で、松田と一対一で戦っている夢を。


何度戦っても勝てなくて、腕が脚が、まるで物のように簡単に飛ばされる。


その都度俺はPBMで回復して戦いを挑むけど、目の前の強敵に勝てずに、一方的にいたぶられるだけ。


もうダメかと思った時に、恵梨香さんが現れて……力が湧いたのを覚えている。


日本刀を鞘に納めて、居合抜きで松田に攻撃をして、倒したという大味な夢。


そして、その夢が終わる。


嘔吐しそうな感覚に包まれて、胸が気持ち悪くなった。


意識の覚醒と共に味わったその感覚で俺は目を開けて……。








「お、おえええええええっ！！」







と、胃液すら出ない嗚咽に苦しんで……意識が完全に戻った。


ここは……どこだ？


広い部屋の中に、ベッドが一つ。


松田に殺されて、ホームポイントに戻ったはずなのに……どうして違う場所に。


「あれ。ここはもしかして」


ベッドから身体を起こし、フラフラする身体をなんとか歩かせて窓に近付いてみると……そこは高層ビルの上階だというのがわかった。


この場所は知っている。