殺戮都市~バベル~
ガリガリと、アスファルトが背中を削るようで、制服を着ていても痛みが走る。


これはまずいと横に転がり、素早く起き上がって黒井を見る。


「はぁ……はぁ……どこだ!?くそっ、雨が激しくて前が見えねぇ……」


まだそれほど雨は激しくないのに。


黒井はもう、限界に近いに違いない。


このまま避け続ければ、俺が何もしなくても黒井は死ぬだろうけど……。









「こっちですよ、黒井さん」







日本刀を構えてそう言うと、黒井は素早く振り返って俺にランスを向けた。


「……何だそりゃあ?後ろからズバッとやってたら勝てただろうが!そんな甘い事で、俺に勝てると思ってんのかよ!ナメてんのかテメェは!!」


命を、怒りを力に変えて、全く衰えないスピードで俺に接近する。


「本気のあんたに勝たなきゃ意味がないだろ!ナメてなんていない!あんたは黒井……黒井風助なんだから!!」


駆け出すと同時に、殺意を放ち、すぐさまそれを抑えて進路を変える。


殺意の分身。


しかし黒井は、一瞬それに反応してしまうも、すぐに俺を目で追ってランスを向ける。


「そんな物が通用すると思うなよっ!」


黒井の声と共に突き付けられたランスが……俺を貫いた。
< 1,261 / 1,451 >

この作品をシェア

pagetop