殺戮都市~バベル~
津堂に殺され、黒井との戦いで身に付けた殺意の分身。


それが、これまでの戦いで勝負を決める要因になって来た。


その技を発現させたのが黒井だから、破るのは容易いというわけか。


だけど……その攻撃が捉えたのは俺じゃない!


「何っ!?」


黒井が貫いたと思ったのは、俺の分身。


それだけじゃない。


高速で周囲を動き回って、多くの分身を残しているから、どこにいるかわからないだろう。


ランスを振り回し、実体ではないと確かめると共に、俺の接近を阻んでいるのか。


「こんな物で俺の目を誤魔化せると思うのか!?……そこだっ!」


そう言って突き付けたランスが、俺の左耳をかすめる。


危ない。


後数センチ右なら、俺は死んでた。


黒井が命を賭けて俺と戦っているなら……俺も命を賭けないとな!


分身を残しつつ、黒井の正面に立った俺は、日本刀を肩に担いで黒井に向かって駆け出した。


僅かに逸らしている視線。


その死角から攻めるように迫る。


でも……。












黒井の目が、俺に向けられたのだ。










振り下ろす日本刀。


後方に跳ぶ黒井。


そして俺にランスが突き付けられた。
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