殺戮都市~バベル~
隙を突いたと思ったのに……この男はどこまで限界を超えて来るんだよ!


ランスの動きが速過ぎて、回避行動に移れない。


それだったら……俺は逃げない!


ランスの先端が、俺の左胸を貫いた。


金属が俺の体内に侵入して来るのがわかる。


肉を裂いて骨を砕き、背中から突き出るランス。







「うおおおおおおっ!」





黒井が命を賭けているのに……俺が命を賭けないでどうするんだ!


そんな想いで、さらに身体を押し込んだ俺は、手を伸ばし、黒井目掛けて日本刀を振り下ろした。


「当たるかよ!お前の攻撃は届かないっ!」


日本刀の切っ先を、触れるかどうかという距離で回避した黒井。


ランスで俺との距離を保ち、攻撃が当たらないギリギリの位置を調整していたのだろう。


だけど……それは大きなミスだ。


勝ち誇った笑みを浮かべた黒井の顔に、赤い筋が縦に入った。


いや、顔だけではなく、そこから腹部まで一直線に。


「あ……」


黒井が呟くと同時に、赤い筋から大量の血が噴き出した。


ランスを落とし、俺の左胸からそれが消える。


膝から崩れ落ちる黒井。


それでも闘志は消えないのか……再びランスを取り出し、地面に突き刺して倒れるのを防いだのだ。
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