殺戮都市~バベル~
雨が……強く降り注ぐ。


俺が立っている場所も水位が上がり始めて、ここが川になるのは時間の問題か。


何とか立っている俺と、ランスを支えにして倒れないように踏ん張る黒井。


今までの攻撃を全て防御していたから、それに気付かなかったのだろうな。


俺の日本刀の、見えない斬撃に。


刃をギリギリで避けるという事は、確実にそれが当たってしまうのだ。


なぜこうなったのか、黒井は理解出来ていないだろう。





「黒井……終わりだ」






俺も、もういつ倒れてもおかしくない状態。


呼吸すらままならない中、日本刀を黒井に向けて、俺はそう言ったつもりで口を動かした。


バチバチと、雨が俺達を打ち付ける。


声なんてお互いに聞こえないはずなのに……黒井の囁きだけはなぜか聞こえたような気がした。











「まだ足りねぇよ……もっと戦おうぜ……真治」










俺には確かにそう聞こえたのに……黒井と俺を繋ぐ光は消えていて、決闘は終わりを告げたのだ。


嘘だろ……黒井はまだランスを掴んでいて、倒れちゃいない。


それに、もっと戦おうって言っていたのに。


でも、この街のシステムは非情で、どちらかが死ぬまで決闘は終わらない。








つまり黒井は……もう死んでいた。





< 1,264 / 1,451 >

この作品をシェア

pagetop