殺戮都市~バベル~
バベルの塔
……夢を見た。


どこか高い所から、このバベルの街を見下ろしている夢を。


ただそれだけの夢。


何をするというわけでもなく、綺麗な街の光を眺めているだけ。


胸の辺りが暖かい……。


それに安心感を覚えて、俺はゆっくりと目を開けた。


ここは……あの部屋じゃない。


天井が低くて、俺の部屋と同じくらいだからすぐにわかった。


胸の温もりは何なのだろうと手で確認しようとすると、ギュッと誰かに掴まれていて動かしにくい。


「ん……誰だ?」


頭がボーッとする。


どうしてこんな部屋にいるのかわからずに、右側を見てみると……そこにはブロンドの髪。


俺に覆い被さるようにして、恵梨香さんが伏せていたのだ。


「えっと……あの、恵梨香さん?起きてくださいよ」


「う……ん……」


揺すってみても、気持ち良さそうにそう呟くだけ。


参ったな……何がどうなっているか知りたいのに、恵梨香さんがこんな調子じゃ訊けないよ。


確か俺は……黒井と決闘して、勝ったんだよな。


その後に、明美さんを殺して……そこからの記憶がない。


ホテルの一室らしき場所にいるという事は……俺は死ななかったんだよな?
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