殺戮都市~バベル~
恵梨香さんと二人、部屋を出て、コンビニに弁当を買いに行く。


流石に三日間何も食べていないから、腹が減って仕方がないから。


「少年が腹ごしらえをしている間に、各軍の主要メンバーに集まってもらうとしよう。少年の目覚めと、バベルの塔への侵攻の段取りを報告せねばならないからな」


ホテルのエレベーターの中で、恵梨香さんが考え込んでいるような表情を見せる。


「すみません。俺が眠っていたから、準備が何も出来てないですよね。恵梨香さんはずっといてくれたし」


「……まあ、そうでもないぞ?私が動かなくても、それぞれの軍には優秀な人材が揃っているからな。バベルの塔への侵攻は、少年が一声掛ければ今すぐにでも開始出来るだろう。南軍を除いては……だけどな」


結局、足並みが揃わないのは南軍のせいか。


トップを失って、混乱を招いたのは俺が黒井を殺したから。


「そう言えば、黒井は……あのまま流されてしまったんですか?」


「いや、西園寺が遺体を回収し、埋葬したようだ。反抗グループの敵だったというのに、情に厚い男だな」


バーコードのおっさんは……いや、もうそんな失礼な呼び方をするのはダメだな。


西園寺のおっさんは、この街に来た時から優しくて、今もその優しさは変わっていないんだな。
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