殺戮都市~バベル~
「高山真治、話がある」


行き交う人の群れの中で、対峙する俺達。


今すぐ戦闘が始まるというような緊迫感ではないけど……何か、独特の空気に包まれている。


「なんですか?俺に話って」


黒井に付いていた三人。


話し合いで和解したわけじゃない。


トップを殺して、強引な戦いを終わらせたから、言いたい事の一つもあるだろう。


いつでも日本刀を抜けるように、右手を少し開いて俺は尋ねた。


「お前達がバベルの塔に行こうとしている事は聞いた。だが、その頂上にお前達が望む物がなかった時……人々は希望を失い、再び殺し合いを始めるだろう。そうなった時、お前はどうする?連合軍のリーダーとして、ありもしない希望を求めるのか、それとも南軍の人間として戦うのか」


大友の言葉は……俺が考えていない事への質問だった。


もしかすると、あの塔の頂上に行けば、この街の人全員を元の世界に戻せるかもしれない。


それは、俺が勝手にそう思っているだけで、そんな事が出来るかどうかはわからない。


今までは一個人の意見で、夢見るのを許されたかもしれないけど……連合軍のリーダーとして、俺の希望だけを掲げても納得はしてくれないんだろうな。
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