殺戮都市~バベル~
ポンッと柵を蹴って、吹雪さんが隣のビルに飛び移る。


俺も……と、思ったけど、日本刀は破壊されていて、性能が半分になっているんだ。


「ふ、吹雪さん!俺、日本刀が折れてるんでした!どうしましょう!?」


「ええっ!?なんで星5レアの武器が壊れるのよ!!どんなやつと戦ったの!?」


隣のビルに移った吹雪さんが、驚いたような声を上げて振り返った。


「い、いや……恵梨香さんに折られたんですけど」


「……何やってんのよ、恵梨香も少年も!でも、これくらいなら飛べるでしょ?」


隣のビルまでの間隔は……3メートルってとこか。


こっちのビルより低いし、何とか行けそうな気はするけど、大丈夫か?


日本刀を取り出し、柵を越えた俺は、意を決して隣のビルへとジャンプした。


結果は……余裕で届いた。


「あちゃあ……随分飛べなくなってるね。まあ、道を選べは何とかなると思うけど」


「す、すみません……」


日本刀さえ折れていなければ、最短ルートで新崎さんが殺されたビルに行けるのに。


それでも吹雪さんは、そんな俺に付き合って、一緒に移動してくれた。


早く、雨が降る前にと。
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