殺戮都市~バベル~
僅かに、俺が足を動かした。


瞬間。


それに反応した沼沢が鎖分銅を投げ付けたのだ。


回避するか、防御するかという二択を迫られたけど……俺は、それを無視して沼沢に飛び掛かった。


さっきの一撃が効いたのか……沼沢の鎖分銅は、人一人分横にずれて、俺を捉えてはいなかったから。


空中で振り上げた日本刀。


慌ててそれに反応する沼沢。


そんな沼沢に……梅原のボルトが再び襲い掛かった。


「うっ!!」


脇腹に突き刺さったボルトで、バランスを崩す。


左腕を上げる前にと、日本刀を振り下したその時だった。












「真治君!止めて!」











俺の耳に届いた聞きなれた声に、振り下ろした日本刀を慌てて止めようとする。


でも、勢いの付いた斬撃を完全に止める事は出来なくて……。


沼沢の肩に刃が食い込み、胸部を斬り裂いた所で、ようやくその動きを止めた。


大量の血が噴出して、それが辺りに飛び散る。


「な、奈央……」


天を仰いで、地面に倒れる瞬間に、沼沢が口にしたのは奈央さんの名前だった。


声がした方に顔を向けて、ドサッと地面に倒れ込んだ。
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