殺戮都市~バベル~
「どうして死んだかは聞かないけど……一馬の事だから、人を助けようとしたんだよね、きっと」


うつむいて、小さくそう呟いた奈央さんは、少し悲しそう。


この街で、ずっと新崎さんと一緒にいて、辛い時も楽しい時も、時間を共有して来たのだから悲しむのは無理もないな。


だからこそ、何が起こったかは言えない。


「はい。俺を守ってくれました」


「そっか」


俺の言葉に、無理に作ったであろう笑顔で答える。


「では行くか。なに、今生の別れではないんだ。私達の目的は、バベルの塔を攻略する事なんだからな」


ポンと俺の肩を叩いて、恵梨香さんは階段の方へと歩いて行った。


「じゃあ頼むよ真治。恵梨香ちゃんさ、どうも危なっかしくて。あんたがしっかり抑えるんだよ」


「は、はは……自信はないですけど、頑張ってみます」


そう囁いた雪子さんにペコリと頭を下げて、俺も階段の方へと急いだ。


仲間を集めてバベルの塔に……って、あれ?


俺は恵梨香さんが言った言葉に気付いて、慌てて階段を駆け下りた。


「え、恵梨香さん!今、『私達の目的』って言いましたよね!?それって、俺もメンバーに入ってるんですか!?」


「……偶然かもしれないが、ランキング一桁のやつに勝ったんだ。認めるしかあるまい」


ヘルメットのシールドを上げて、恵梨香さんはフッと笑みを浮かべた。
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