殺戮都市~バベル~
恵梨香さんに認めてもらえた。


その事が嬉しくて、光の壁に向かって歩く足取りも軽やかだ。


「そう言えば、こらからどこに行くんですか?仲間を探すって、簡単な事じゃないと思うんですけど」


俺より少し先を歩いている恵梨香さんに尋ねる。


後を付いているだけの俺には、どこに向かおうとしているかなんてさっぱりわからないから。


「そうだな……西軍で探しても良いが、少々暴れ過ぎたから他の軍に渡った方が良いだろう。とりあえず南軍に戻ろうと思うのだが」


暴れ過ぎたのは、恵梨香さんだけだと思うけど……。


何にしても、行くあてはないって事だな。


奈央さんが雪子さんの所にいるなら、南軍に戻る意味もないんだけど。


どこかに行く理由……それを考えていたら、脳裏に浮かんだ顔があった。


「あ、あの……行くあてがないのなら、行ってみたい所があるんですけど……」


「む?どこに行きたいんだ?今回のようにゴタゴタに巻き込ませるなよ?」


ま、まあ、大丈夫だとは思うけど……ゴタゴタに巻き込まれたって言うか、今回は恵梨香さんが一番大暴れしていたじゃないか。


でも、言ってみないとわからないな。


「えっと、東軍に行ってみたいんですけど……」


理沙の顔を思い浮かべて、俺はそう呟いた。
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