殺戮都市~バベル~
そんなに危険なやつらがいるのに、俺の提案はすんなり通って東軍に行く事になった。


恵梨香さんって、本当にどこに行くって目的がないんだろうな。


そして、光の壁沿いに歩いていて見付けた服屋。


中に入って、俺は恵梨香さんの着替えを、背中を向けて待っていた。


「そ、それにしても、どうして光の壁沿いを歩いてるんですか?西軍から南軍に行くなら、光の壁を通り抜けれるんじゃ……」


俺の背後で着替えをしていると思うと、何か話をして気を紛らわせないとそわそわしてしまう。


「ん。無理だな。光の壁は、戦闘時に通り抜けた壁を戻る事しか出来ない。戦闘中に死ねば、それもリセットされてしまう。つまり、私達はまた街の中央を通らなければならないと言うわけだ。ところで少年、これでどうだろう?おかしくないか?」


着替えが終わったのだろう。


俺が振り返って見てみると……。


恵梨香さんが、長いブロンドの髪を手で後ろに払って、腰に手を当てて俺にポーズを取って見せたのだ。


デニムのホットパンツに白いTシャツ、スニーカーというラフな格好で、動きやすさを完全に重視したその服装が、新鮮に感じた。


「き、綺麗です……」


おかしいとかおかしくないとか、そんな感想じゃなく、その言葉しか出なかった。


「お、おかしくなければ良いんだ。綺麗とか……そんな答えは求めていないのに」


恵梨香さんは、なぜか恥ずかしそうに照れたような表情を浮かべた。
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