殺戮都市~バベル~
PBMに視線を落として悩んでいた俺は、その声でハッと我に返って恵梨香さんの方を見た。


驚いているような……それでいて、何かを睨み付けているような。


その視線の先に何を見たんだろうと、俺もその方を見てみると……。


「な、なんだあれ……」


俺も同じ事を呟いてしまった。


塔の近く……俺達がいる所に近い場所にいた、一匹の異形の獣。


他のポーン達よりも、頭三つ分くらい大きな、西洋風の兜を被った化け物が。


下半身は、犬か狼かというような四足歩行の動物……ケンタウロスのようで、上半身はポーンとほとんど変わらない。


何よりも、ポーンとは違い、盾と槍を手にしていたのだ。


「ポーンが……進化したのか?チッ!こんな事態が発生するとは」


「で、でもほら、まだわからないですよ?ポーンになり損ねただけかもしれないですし……」


なんて、希望的観測を口にしても仕方ないか。


「バカを言うな。ポーンよりも体躯が大きくて、武器と防具を装備しているんだぞ……さらに強くなったと考える方が自然だ」


ポーンよりもさらに強い……。


そんな化け物が現れて、本当に塔になんて行けるのか!?


「とにかく……一度戦ってみなければわからないな。だが、ダメだと思ったら私が合図をする。その時はすぐに南軍に入れ」
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