殺戮都市~バベル~
俺の言葉で、弓長の眉間にシワが寄り始める。


怒らせたみたいだけど……こうなったらもう、そんな事はどうでもいい。


「ガキが……俺のビジネスに口出ししてんじゃねぇぞ!こいつらが今まで生きて来られたのは俺のおかげなんだよ!戦えもしねえガキを養う金なんてねぇ!生きたきゃ自分で金を稼ぐしかねぇだろうが!」


言ってる事は……わからなくもないのが辛い。


だけど、こいつのやり方は許せないんだ。


「仲間って、そんなもんじゃないだろ!」


「あぁ?誰が仲間だって?このガキの事か?仲間ってのはな、殺し合いで背中を任せられるやつの事を言うんだよ。戦えねぇガキには、商品価値くらいしかあるわけねぇだろ?」


俺がまともに立てないのを良い事に、ナタでカンカンと日本刀を弾く弓長。


ダメだ……絶対に負けられないのに、コンディションは最悪。


利き腕がなくて、身体が重い。


何が何でも……こいつに勝たないと亜美が連れて行かれてしまう。


ついさっき出会ったばかりの小さな女の子。


助ける義理は……俺を気遣って、包帯を巻いてくれた事で十分だ。


こんなやつじゃなく、俺をナイトから助けてくれたあの二人なら、守ってくれるんじゃないかと思った。
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