殺戮都市~バベル~
壁から離れ、グッと日本刀の柄を握り締めて弓長の隙を伺う。


俺が動けないとはいえ、日本刀の切れ味が落ちたわけじゃない。


「ふん、まあお前が何をしようと、俺はお前を殺して亜美を連れて行くぜ。こんな所にいた事を、後悔するんだな」


カンカンと日本刀に打ち付けていたナタが、素早く振り上げられた。


テンポ良く手に伝わる振動が突然途切れて、一瞬気が逸れたけど……俺には関係がない。


振り下ろされたナタを、日本刀で左側に受け流した。


ナイトの動きと比べたら、あくびが出るような速度だ。


他のレアリティが低い武器のやつらになら通用するかもしれないけど。


それでも厄介なのは、この身体の重さだ。


なんとか狭い廊下から、待合室まで押し出そうとするけど……気持ちに身体が付いて行かない!


「ほう?そんな身体でやるじゃねえか」


すぐさま体勢を整えて、ナタを俺に向けた弓長。


だけど俺も弓長に日本刀を向けて牽制した。


武器のリーチは……俺の方が長い。


ゆっくりと、よろめきながら前進すると、それに合わせて弓長が後退する。


一歩……一歩だけでも踏み込む事が出来れば、こんな焦れったい戦いをしなくても済むのに。
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