殺戮都市~バベル~
殺意の街
弓長の死体を前に、俺は身体を休めて亜美は泣く。


それがどれだけ続いただろうか。


日本刀を持っていないと回復が早い。


今にも死にそうだった身体は、8割がた回復して、普通に動けるようになっていた。


身体を起こして、左手をグッと握り締めてみる。


……うん。


力が入る。


これなら大丈夫そうだけど……右腕は戻らないのな。


PBMを取り出して画面を見てみても、ソウルは2個。


後一個ないとダメなんだよ。


かと言って……近くにいるのは亜美だけだし、この子を手に掛けるわけにはいかない。


さあ、どうする……しっかりお姉ちゃんの死を伝えないと、ここから離れそうにないし。


「あ、亜美ちゃん。俺と一緒に、コンビニに行こうか?」


お腹が空いたと言っていた……ここにいたら、色々考えてしまうだろうし、外に出た方が良いだろう。


散々泣いて、少しは落ち着いたのか、顔を上げた亜美が立ち上がって、俺に駆け寄って来た。


「……家に帰りたい」


俺の腕を掴んで、小さくそう呟いた。


そう言われても……俺だって帰りたいよ。


「大丈夫、いつか家に帰ろう」


これが、今の俺に言える精一杯の言葉だった。
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