殺戮都市~バベル~
「ぐううう……つ、強い……」
東軍で出会ってはならない四人……恵梨香さんが捕まっていなければ、出会っていなかったかもしれない。
俺が勝てるなんて考えたのが間違いだったのか?
沼沢なんかだと、変速的な動きで翻弄されたけど……こいつはまるで違う。
まるで、俺の考えの一歩先を行っているようで、反応が遅れてしまう。
「強いと言うよりも、お前に無駄な動きが多過ぎるだけだ。お前は、敵を目視で捉えて構えるという動きに無駄がある。だから初動に遅れが出るんだよ」
まるで子供扱いだ……敵にそんな事まで教えるなんて、それでも絶対に負けないと思っているから言える事だ。
その油断が命取りだ……と、言いたいけれど、この力の差は確かにどうしようもない。
俺が付け焼き刃で、今言われた事を実行したとしても、どうにかなるなんて思えないけど……。
やるしかないよな。
絶対的な強者を前に、脳がパチパチと弾くような音を立てているような気がする。
左半身の痛みが……全身を駆け巡るけれども、それ以上に目の前の敵に対して、神経が研ぎ澄まされる。
俺が様子を見る……なんて、余裕を持てる相手ではなかったんだ。