殺戮都市~バベル~
『……る?ねえ、真治君、聞こえてないの!返事して!』
うお、俺を名指しで呼んでるよ。
個別通信なんだろうけど……この声は忘れるはずがない。
「……何ですか?明美さん」
この名前を口にするだけで、やり切れない気持ちになる。
この人は、新崎さんを裏切り、挙句の果てに殺したんだから。
『ああ、良かった。他に頼れる人もいなくて。お願い!助けて!私このままだと殺される!』
……随分都合の良い事を言うんだな。
俺が復活して、すぐに通信をよこすなんて。
「殺されそうなら池田に守ってもらえば良いじゃないですか。それに俺には明美さんを助ける理由なんて……」
『その浩太に殺されそうなの!奈央も一緒にいるんだよ!?お願い!助けてよ!』
奈央さんが明美さんと?
そんなバカな事があるか?
だって、奈央さんは雪子さん達と一緒にいて、南軍にいるはずは……いや、もしかして、何か用事があって戻って来たとか?
「だったら、奈央さんに変わってくださいよ。そうしたら信じますよ」
『え?な、奈央は今話せないの!でも助けて!今、南軍の中心地の辺りに隠れてるから、近くに来たら連絡して!お願……』