殺戮都市~バベル~
まったく……随分わかりやすい罠じゃないか。


同じ軍の人間を殺しても、ソウルは手に入らない。


戦うメリットなんて全然ないのに、明美さんはそれがわかっていて襲わせているのだろう。


何がなんでも……俺をそこまで憎んでるのかよ。


「取り囲め!こいつは強いらしいからな、一斉に攻撃するんだ!」


「逃がすなよ!池田さんにぶっ殺されるぞ!」


日本刀を抜き、攻撃に備えて辺りを見回していると、言葉通り俺を取り囲むように人が集まった。


上以外に逃げ場はない。


だけど、この程度はピンチでも何でもないな。


西軍でも囲まれたし、何よりこいつら……ビビっているのか、誰も襲い掛かろうとしない。


「お、おい!一斉にやるんだろ!?誰か先に行けよ!」


「合図はないのかよ!」


場が混乱しているな。


そんな中で、俺に迫って来たのは……人ではなく、矢の雨だった。


人の壁を越えるように、上空から矢が俺に向かって降り注ぐ。


でも……この程度なら、どうとでもなる!


素早く左手で鞘を取り出した俺は、迫り来る矢を回避しながら、日本刀と鞘で弾いた。


一本、二本と、数えるのも面倒なくらいの数の矢を。
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