殺戮都市~バベル~
「真治君、とりあえず奈央さんをどこかに運ぼう。このままここに置いておいたら、洗浄日に流されてしまうからね」


てっきり、「悲しんでいる暇はない」とか言われるかと思ったけど……俺が悲しんでいるのを理解してくれているのか。


言葉を選んで、俺が何をすべきかを示してくれているようだ。


「だけど……奈央さんはまだ死んだと決まったわけじゃないですよね?PBMだってまだ動くかもしれない。壊れていなければ復活するでしょ?」


「……受け入れたくない気持ちはわからなくはないけど、PBMがこんな状態で、壊れていないわけがない。何より……奈央さんの身体がずっと変化しないじゃないか」


PBMを見せられ、画面の真ん中に空いた穴が、俺に現実を突き付ける。


画面は黒く、機能していない事は一目瞭然だった。


「とにかく……奈央さんは死んだんだ。今まで多くの人を殺して来たんだ、それくらいわかるだろ!」


今度は容赦のない言葉。


黒井のその言葉に、何も反論が出来ずに……。













「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!なんでだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」









急にあふれ出した涙と共に、俺は喉が潰れるかと思うほどの声を上げて叫んだ。
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